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睦月(4)

 一月五日、我が家には先輩をお招きする用意がすっかり整っていた。
 お寿司を三人前、電話で予約注文しておいた。先輩が来る時刻の少し後くらいに届く手はずとなっている。
 もし万が一届くのが遅れた場合の為に、居間のテーブルにはみかんの山も用意してある。いざとなればこれで当座を凌げばいい。それに冬と言えばみかんと相場が決まっている。
 それから各種お菓子も用意した。昼食の後ですぐ帰ってもらうなんて失礼だし、何よりもったいない。いつも先輩のお部屋にお邪魔する時は先輩にお茶を入れてもらっているけど、今日は私がお茶を入れてあげよう。先輩が何と言ってくれるか、楽しみだ。
 あとは――これは別に今日に限った話ではないけど、鳴海先輩と会うのだからと服装は気合を入れた。この冬一番気に入っているニットワンピースを着た。化粧もした。デートの時並みにめかし込んだ私を見て、兄がいろいろ言ってきたけど、その辺りは軽く聞き流しておく。先輩と会うのに可愛い服装をしないなんてあり得ないことだ。
 一方、私も兄にはいろいろ言わなくてはならなかった。例えば冷蔵庫の中を確認して、そこに数本の缶ビールを見つけた時だ。
 うちの父は滅多にビールを飲まない。つまり買ってくるとしたら兄しかいない。
「……何で、ビールがあるの?」
 冷蔵庫の戸を締めながら私は尋ねた。
 兄はどういうわけか、台所に立って枝豆を茹でている。菜箸を手にこちらを振り向き、へらへら笑んだ。
「いや、そういうもんも必要になるかと思って」
「ならないよ……。お酒飲む席じゃないでしょ」
「わかんないぞ。飲まなきゃわかり合えないってこともあるだろ、往々にして」
 さも正論だというふうに兄は言うけど、それなら私は他人とわかり合う一つの機会をまだ得ていないことになる。そんなものだろうか、ちょっと納得がいかない。
 大体、お酒に酔ったくらいで人間同士、そこまでわかり合えるというのだろうか。私にはまだ理解できない。そしてさして強くもないはずの兄が飲みたがっているようなのは、もっと理解できない。先輩の前で潰れられるのは大変に困る。
「つか、先輩って二十歳だろ? なら飲んだって何も問題なし」
 兄は力強く言い切った。私の冷ややかな視線をものともせず、うきうきと語る。
「ましてあんなに生真面目そうな奴なんだからさ。普通にご飯食べただけじゃあんまり話弾まなさそうな気するし、潤滑油っての? 用意しとくかと思ったんだよ」
 妙に大人ぶった口調の兄が、私に指を突きつける。
「あ、言っとくけどヒナは駄目だぞ。未成年なんだからな」
「言われなくても。未成年の前で、お昼時からお酒飲むのもどうかと思うけど」
 私が嫌味を言ったところで、上機嫌の兄は聞く耳持たず。あっさりと返された。
「まあ、飲むって決まったわけじゃないし。あくまで必要だったらな」
「先輩に無理強いとかしないでね、くれぐれも」
「わかってるって」
 兄は本当にわかっているのだろうか。何だか随分浮かれているように見えるし、不安が残る。
 先輩の為にも、今日は兄の動向に目を光らせていようと心に誓った。

 午前十一時半を回った頃、玄関のチャイムが鳴った。
 迎えに出た私がドアを開けると、そこにはいつもとあまり変わりない鳴海先輩が立っていた。外が寒かったからかきちんとコートを着込み、それでも着膨れすることなくすらりとして見える先輩は、現れた私に少しだけ微笑んだ。
「いらっしゃいませ、先輩」
 私が声をかけると、ああ、と短く答えて先輩が頷く。
 その後で、背後に近づいてくる足音が聞こえた。先輩の視線も私の肩越しに移り、すかさず会釈をする。
「お邪魔します。本日はお招きいただきありがとうございます」
「いいですって、そんなに畏まらなくても。さ、上がって上がって」
 私を挟んで、先輩と兄が会話を交わす。少しぎくしゃくとした、まだ知らない間柄といった様子のやり取りだった。
 先輩は玄関に入ると靴を脱ぎ、自然な仕種できれいに揃えた。すかさず私が居間へと案内する。と言ってもそんなに広い家ではないし、廊下のドアを開ければすぐだ。
「どうぞ、入ってください」
 私はドアを開け、先輩は軽く頭を下げながら室内へと入る。そして居間の内装を見回した時、心なしか物珍しそうな顔をした。
 我が家の居間はよその家とそう変わりないと思う。テレビがあって、ソファーがあって、テーブルがあって、食器棚があって――先輩が来る前に掃除はしたけど、それでもどうしても拭い切れない生活感はある。壁にかけられたカレンダーに記されたスケジュールとか、食器棚の横に吊るしてあるホワイトボードに貼られたレシートとか、テレビ台の隅に立つ家族写真とか、そういうものが。
 先輩もその写真に目を留めたようだ。しばらく眺めた後、私の視線に気づいたのか後ろめたそうに言った。
「じろじろ見るつもりはなかったんだが……よその家にお邪魔することもあまりないからな」
「いや、いくらでも見てってください。あんまり面白いものないですけど」
 私より早く兄が答える。先輩は軽く笑んでお礼を言っていたものの、失礼だと思ったのか、それ以上居間にあるものを眺めようとはしなかった。
 程なくして出前のお寿司も到着し、私たちは居間のテーブルを囲んだ。
 ストーブが点いた暖かい室内で、いつもと違うお昼ご飯のひと時が始まる。

 いつもは父が座る席に、今は兄が座っている。上座下座を意識したのかどうか、先輩は一番入り口に近い、兄と向かい合わせの位置に腰を下ろした。私は兄と先輩の仲介役を務めるべく、二人のちょうど中間に座る。さすがの兄も最初からビールを出そうとはせず、まずは三人分の煎茶を用意した。
「ま、まあ、今日は堅苦しい席でもないし。気楽に食べてってください」
 兄はがちがちに緊張しているようだった。先輩に対してお寿司を勧める口調、仕種、笑みを作ろうとする顔つき、そのどれもがいちいちぎこちない。
「ありがとうございます。いただきます」
 先輩の方はと言えば、傍目には緊張している様子はなかった。いつものように姿勢がよく、いつものように落ち着き払った先輩だった。温度の感じられない淡々とした声でお礼を言うと、手を合わせてから箸を取る。
 箸の使い方だってきれいだ。上げ下ろし一つ取ってもお作法のお手本みたいに無駄がなく、それでいて優美だった。
 もしかすると育ちのいい人なのかもしれないと考えかけて、すぐにその考えを打ち消した。私はそんなことを探りたいとは思っていない。先輩についての情報は、先輩が私に教えたいと思っていること、それだけでいいはずだった。
「ヒナ、ホタテやるから何かと替えっこしよ」
 私が先輩に見とれる横で、兄が子供みたいに声をかけてくる。
 何のことはない、兄は貝類が苦手なので、家族でお寿司を食べるときはいつもトレードを申し込んでくるのだ。一人前十貫入りの寿司桶をこちらに差し出してくる兄を見て、いつものことではあるけど、お客様のいる時にそれはどうだろうと私は呆れた。
 とは言え申し出を断るのもかわいそうなので、トレードを受けてあげることにする。
「しょうがないなあ……お兄ちゃんは何がいいの?」
「選んでいいのか? なら、サーモン貰おっかな」
「それは駄目!」
 私だってサーモンは好きなのでそう簡単には譲りたくなかった。きっぱり断ると、兄はいかにも譲歩してやるという態度で言った。
「駄目かよ。わかったわかった、じゃあもうヒナが決めていいよ」
「何その上から目線……。元はと言えばお兄ちゃんが好き嫌いするのがいけないんだよ」
 兄がホタテを食べられない理由はアレルギーや体質などではなく、ただの食わず嫌いだった。ホタテだけではなく他の貝類も駄目な理由は、小さな頃に潮干狩りに行き、活きのいい貝に指を挟まれたという一見笑い話のようなエピソードに起因している。あれは私が三歳くらいの話だっただろうか。おぼろげに、指先に包帯を巻いて大泣きしている兄の姿を覚えていた。
 しかし、今の兄は二十三歳、立派な大人だ。あんまり比べるようなことは言いたくないけど、鳴海先輩よりも年上のはずなのだ。それなのに好き嫌いなんてちょっと格好悪くないだろうか。
「仕方ないだろ、好き嫌いくらい誰でもするよ」
 兄は年甲斐もなく拗ねた口調で言うと、向かい合わせに座る鳴海先輩に話を振った。
「好き嫌いくらい誰でもありますよね? 何か、食べられないものとかあります?」
 鳴海先輩はそれまで私と兄のやり取りをじっと見守っていたようだった。そこへ水を向けられて、少しの間瞬きをする。
「食べられないというほどではありませんが、甘い物が苦手です」
 私はとっくに知っている情報を、先輩が口にした。
 途端に兄は拳を握り締め、私に向かって満面の笑みを向ける。
「ほら見ろ! 先輩だって好き嫌いあるっつったぞ!」
「お兄ちゃんのはただの食わず嫌いでしょ。先輩のとは違うよ」
 勝ち誇る兄には溜息しか出ない。私は首を竦めつつ、そういえば鳴海先輩がどうして甘い物が苦手なのか、よく知らないなとふと思う。
 甘い物を全く食べられないわけではないようだし、私に付き合って一口、二口程度なら食べているのを見たことがある。そういう時、先輩はあんまり美味しそうな顔をしないので、単に好みに合わないというだけかもしれないけど。
「ホタテが苦手なんですか」
 今度は鳴海先輩が、兄に対して尋ねた。
 兄は恥ずかしそうに答える。
「ええ、まあ……と言うか貝類全般駄目なんです。トラウマがあって」
 トラウマという言葉も随分安くなったものである。
 私がこっそり吹き出すと、先輩は怪訝そうにこちらを見て、兄は慌てふためいた。
「ちょ、笑うなよヒナ! ってかいいだろ別に食べられなくたって!」
 言いながら、兄は目で『その話はするなよ』と訴えてくる。私としても身内の失敗談で笑いを取る気はないから、黙って兄お目当てのサーモンを譲ってあげた。
「え、いいのか? 貰っちゃって」
 兄が驚いているようなので、私は軽く笑っておく。
「先輩の前だからね。いい妹らしく振る舞おうと思って」
「振る舞うのかよ……。猫被ってると、後で大変になんないか?」
 そう言って、兄はまたしても先輩に向かって尋ねた。
「どうですか、うちの妹。家ではたまに生意気なくらいなんですけど、外ではちゃんとやってるのかって心配なんですよね」
 明らかに余計な心配だったけど、問われた鳴海先輩は一度私の方を見て、ほんの一瞬だけ笑んだ。その後で至って真面目に答える。
「雛子さんはいつも優しいです。生意気だなんて思ったこともありません」
 それを聞いた私は、どうかな、と内心思う。
 なぜかと言うと鳴海先輩はちょくちょく私を指してわがままだとか、わからない奴だと言うことがあったからだ。それらは単に先輩の照れ隠しという側面もあったけど、それだけではないのも自覚している。実際、私はそこそこわがままだし、我の強い人間でもある。
 つまり今のコメントは先輩なりの気遣い、よそ行き用のコメントというものに違いなかった。
「本当に? じゃあ先輩の前じゃいつでも猫被ってるってことかな」
 兄は兄で私を疑わしげに見ている。貰ったばかりのサーモンを一口で食べた後、また先輩に向かって話しかけようとした。言葉を選ぶように、難しい顔つきをしながら。
「ところで先輩は……って、考えてみりゃ俺がそう呼ぶのも変か……」
 どうやら兄は、先輩を何と呼ぶべきか戸惑っているらしい。いくらか考えて、それでもいい案が浮かばなかったようで、ついには逆に尋ねていた。
「こんなこと聞くのも何ですけど、俺からはどうお呼びしたらいいですかね?」
 そんなこと聞かれても困るだろうと見守る私をよそに、先輩は冷静に口添えをする。
「鳴海と申します。名字で呼んでいただいて構いません」
「ああ、そうですね。じゃあ『鳴海さん』で」
 兄も頷き、それから話題を継いだ。
「鳴海さんはどうなんですか? 本日はうちに来るってことで、ちょっと猫被ったりしてません?」
 いかにも探るように問いかけたので、ここはさすがに突っ込んだ。
「お兄ちゃん、先輩に失礼だよ」
 私が咎めると、兄は心外だと言いたげに目を剥いた。
「そうかあ? でも、気になるだろ。お前の彼氏がどんな奴かって。今んとこ、隙見せるそぶりもないしさ……」
 兄は先輩のどんな隙を見たいと言うのか。呆れる私の視界の隅で、鳴海先輩が心なしか興味深げな顔をした、ような気がした。
「どんなも何も、先輩はいつもこんな感じだよ」
「本当に? いつもこんな感じで堅苦しいってか、生真面目風なの?」
「うん」
 いつもこんな感じ、というのはさすがに言いすぎかもしれない。普段の鳴海先輩はここまで物腰柔らかではないし、たとえ私が相手でも、ご友人である大槻さんが相手でも、割と遠慮会釈なくものを言う人だからだ。
 うちの兄に対しては年上だからか、あるいは交際相手の家族だからか、割かし温和な態度に終始している。それも裏を返せばTPOを弁えられるということであり、猫かぶりと評するのはおかしいだろう。むしろこういう時にはちゃんと弁えられる先輩に惚れ直してしかるべきだ。
 ただ、普段の先輩の苛烈さ、言葉に対する躊躇いのなさを差し引けば、今の先輩は普段通りの生真面目さを保っていると言える。
「じゃあヒナと先輩は、普段からこんな調子で喋ってるのか?」
 兄が耳を疑うといった口ぶりで尋ねた。
「そうだよ」
「こんな調子で、ちゃんと会話弾むのか? 想像つかないけど」
「問題なく弾んでるよ。――ですよね、先輩」
 私は先輩に目を向ける。先輩もこちらを見てしっかり頷いてくれた。
 人がどう思うかは知らないけど、私は鳴海先輩と話をするのが好きだった。先輩が口にする感性豊かな言葉を聞くのも好きだし、私のなかなかまとまらない悩み事や考え事を聞いてもらうのも好きだし、二人で興味を持った事柄にあれこれ言い合うのも好きだった。他の人にはなかなか信じてもらえないのだけど、鳴海先輩は時たま冗談らしいことも言う人で、そういうところがまた可愛く思えてならなかった。
「へえ……。ますますわかんなくなってきた」
 兄はどうにかして、普段の私たちの会話を想像してみようと試みたようだ。しかしその想像は見聞きした現実を乗り越えることはできなかったらしく、やがて白旗を揚げた。
「考えてみてもしっくり来ないな。鳴海さんがヒナの前ですら、まだ猫被ってるってことはないよな」
「またお兄ちゃんってば、失礼なこと言って」
 言うに事欠いて何たる暴言。私はむっとしたけど、意外にも当の鳴海先輩は、そこで微かに笑った。
「そういうところもあるかもしれません。どうしても、自分をよく見せようと思ってしまうものです」
 しかし私からすれば、鳴海先輩はいつでもよく見えるし、私の前で先輩が猫を被っているとは思えない。被るならもっと可愛くかぶってくれたらと思うし、以前まではどちらかと言うと、虎か豹を被って完全武装しているように見えたほどだ。
 ともあれ兄はその言葉を聞くと、ほら、と得意げにしてみせた。
「やっぱそうなんだよ。ヒナ、お前の先輩も多少は猫被ってるってさ」
「それは誰だってそうなんじゃない?」
 相手に自分をよく見せたいという気持ちは共感できるし、先輩にまだ私に見せていない顔、更なる引き出しがあるというのならそれはそれで悪くないことだ。これから先もずっと先輩の傍にいたら、そういった新しい側面を見せてもらえるようになるだろう。私はそれが楽しみでならない。
「まあ、ヒナはぞっこんですもんね。気にならないですよねそういうの」
 兄は冷やかすように言い、私は反応に困って自分の寿司桶に目を落とす。サーモンをあげたのは早まったかなと思った直後、思いついたように兄が言い出した。
「じゃあ本日は、鳴海さんにも猫被るのやめてもらいましょうか」
 その言葉に私が勢いよく面を上げると、きょとんとした先輩の顔が見えた。きっとうちの兄の突拍子もない発言についていけないと思っているのだろう。
 もちろん兄はそんなこと気にせず、先輩に嬉々として切り出す。
「鳴海さん、よかったらビール飲みません? お酒平気なら一緒にどうです?」
「お兄ちゃん!」
 私は即座に兄を咎めた。でも兄はへらへらしている。
「何だよ、いいだろ。大人同士なんだし普通だよ普通」
「飲む必要がある流れには思えなかったんだけど」
「そんなことないぞ、俺は鳴海さんと腹割って話したいって思ってるし」
 嘘だ。
 いや嘘とまではいかないだろうけど、何だかんだでビールを飲みたい口実に違いない。
「先輩も、無理しなくていいですからね。兄は単にお酒が飲みたいだけなんです!」
 今度は先輩に対して訴える。先輩ならこんな時、さらりとかわしてくれるに決まっている。そう思って――。
 なのに先輩は、真面目な顔でこう言った。
「いや、経緯はどうあれ誘いをかけられて断るのも失礼だろう」
「飲むんですか!?」
「特に問題はあるまい。むしろお付き合いするのが礼儀だ」
 意外なくらいあっさりと言い切った後、先輩は兄にも告げる。
「では、いただきます」
「よし決まり! 早速持ってきますね!」
 兄はさっと立ち上がると、軽快な足取りで居間を出て行く。目指すのはもちろん台所、冷蔵庫の中で用意周到に冷やされているであろうビールの元だ。
 そして私と先輩は、居間で一時だけ二人きりになる。
「……お酒、好きなんですか」
 これはむしろ事前に聞いておくべきだったかもしれない。私が問うと、先輩は淡々と答える。
「ごくたまにだが、一人で飲む程度には」
「そ、そうだったんですか……ちっとも知らなかったです」
 意外だ。
 これこそ鳴海先輩の、新しい引き出しというやつだろう。
 遭遇したところで喜んでいいのかどうかよくわからないけど。私はまだ十八だから、お酒を飲むことの意味や効用が全くぴんと来ない。
「先輩はお酒、弱くないですよね?」
 私はもう一つ尋ねておいた。
 先輩はそこで、私を安心させるように表情を和ませる。
「強いというほどでもないが、心配するな。正月早々、受験生のいる家で酔い潰れるわけにもいかないからな。適当なところで切り上げてお暇するつもりだ」
 そうなるだろうな、と私も思う。なぜならうちの兄は決して強い人ではないからだ。

 でもちょっとだけ興味がある。先輩がお酒を飲んだらどんなふうになるのだろう。見てみたい。それに、想像できない。
 興味と同時に、未成年としては少々の疎外感も抱いた。
 私も一緒にお酒が飲めたら楽しいのかな、などと、味も知らないくせに今は思った。
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