Tiny garden

出逢った事に感謝した(6)

 日が落ちるのを待ち、俺たちは再び庭へ出た。
 夕食を終え、姪たちが予定通り花火を始めたがったからでもあるし、俺も藍子も明日は朝早いから、飲酒はそこそこで切り上げなければならなかったからでもある。
 でも一番の理由は、せっかく藍子が浴衣を着てくれたんだから、それにふさわしい環境でじっくり眺めてみたかった。浴衣には蛍光灯の白っぽい光よりも、夏の宵のほの暗さの方がよく馴染む。空にはまだうっすらと残照が残る頃、庭の草木の陰からは虫の声が風情よさげに鳴り出して、その中にいる浴衣姿の藍子は絵に描いたような光景だと思う。
 もっとも、当の彼女はせっかくの浴衣をなかなかじっくり眺めさせてくれない。
「……あんまり、見ないでください」
 俺が視線を向ける度、恥ずかしがってはくるりと後ろを向いてしまう。
 借りた浴衣は藍地に白と青の桜模様で、確かに彼女が着るにはいささか地味な気はした。だが彼女に藍色が似合わないはずがないし、桜模様なのも四月生まれの藍子に合わせたみたいでいい。生地が深みのある色合いだから、手肌が一層白く見えるのもいい。似合ってるのは間違いないから、別に恥ずかしがることもないだろうと俺は思う。
 だがそうやって後ろを向くと、浴衣に合わせて髪をアップにしているおかげで白いうなじと、そこにかかる柔らかそうな後れ毛がじっくり拝めてしまう。吸血鬼の気分ってこんな感じだろうか、思わず噛みつきたくなるような至高の首筋だった。正面から見るのももちろんいいが、後ろ姿もそそるのが浴衣の持つ魔力だ。
 というわけで俺は庭へ出てからというもの、定期的にわざと藍子へ視線を送っては、後ろ向きの姿をしげしげと眺めさせてもらっている。おあつらえ向きに姉ちゃんと姪たちが場を離れたので――と言ってもバケツを取りに物置まで行っただけで、直に戻っては来るんだが、この隙を好機とばかりちょいちょいからかって、もっと彼女を恥ずかしがらせたりしている。
「俺に見せる為に着たんだろ?」
「そ……そうですけど……。そんなに見られると、何か……」
「よく似合ってる。それにいつもより、色っぽく見えるな」
「そんな風に言われると、どう返事していいのか……」
 うろたえて困っている姿も色気があっていい。まさに浴衣さまさま。
 地元の銀行なんかでは、花火大会の時期に窓口業務の皆さんが浴衣を着るサービスがあったりして、いいもんだよなあと毎年思っていた。うちの会社にもそういう日が設けられたらいいのに。そうしたら俺なんてその日一日中ハッピーに過ごせちゃうぜ。仕事は捗らないかもだが。
 しかし、藍子の浴衣姿を他の奴に見せるのは何か癪だ。もったいない。ましてや彼女も営業課員、この格好で外へ出ていくのかと想像したら、現実にならないうちから心配になって、焦燥感でもやもやする。やっぱ駄目だ、浴衣デーは却下だ。そんな話が持ち上がったら全力で反対してやろう。勤続九年で一度もなかったし、今後もないとは思うがな。
 こうして彼女に浴衣を着てもらえるのも、俺だけの特権のはずだ。ここに連れてこられなければこんな機会だってなかっただろう。俺は単純なので、これだけでもう、旅行連れてきてよかったと思ってしまう。
 俺の遠慮会釈のない視線を背中で感じ取ったか、しばらくしてから藍子が、まるでコマのような回転速度で振り返る。ぎくしゃくと、俺と目を合わせないようにしながら口を開いた。
「あ、あの、ろうそくの準備、しておきましょうか」
 その言葉を待っていたみたいに、実家の裏手にある物置の方から姉ちゃんたちの話し声が近づいてくる。どうやら戻ってきたようだし、ひとまず藍子をからかうのは中断して、俺は素直に頷いた。
「いいタイミングだったな。そうするか」

 実家の狭い庭に水を張ったバケツを置き、着火用のろうそくを、少しだけろうを溶かしてアスファルトの上に立ててやる。
 姉ちゃんが買ってきた花火セットはほぼ手持ち花火だけのラインナップで、いかにも子供用という感じだった。姪は手持ち花火をぐるぐると、宙に絵でも描くようにゆっくり回している。その横で甥は花火に着火するのさえ及び腰だ。姉ちゃんに手を添えてもらって、おっかなびっくりろうそくから火を移している。そうして花火の先から賑々しく噴き出した火花を、口を半開きにして眺める。
「お父さーん、ほら見て花火!」
 姪は庭に面したベランダへ声をかける。網戸越しに見える居間ではお義兄さんとうちの父さんとがのんびり酒を飲んでいて、お義兄さんの方が大きく手を振るのがここからでも見えた。
「火には気をつけるんだぞ」
「はーい!」
 姪も甥もビニールプールで散々遊んだ後だというのに、今日は疲れた様子も見せずぐずることもなく、湯上がりに浴衣を着て二人ではしゃいでいる。きっとお義兄さんが来ているから、安心しているのもあるんだろう。久々に会った姉ちゃんの旦那はお盆前の激務でさすがに疲れていたようだったが、俺が藍子を連れてきたことを喜んでくれたし、俺たちの結婚式には必ず休みを取るから、とも言ってくれた。
 宵のほの暗さの中で見る室内の眩さは、まるで網戸一枚隔てて異世界でも見ているようだった。居間のテレビがナイター中継を映している。父さんの贔屓チームは試合開始早々から得点を重ね、今日はピッチャーの大乱調でもない限り順当に勝てそうだった。父さんとお義兄さんは酒を飲みながら野球談義に花を咲かせ、居間のすぐ隣にある台所からは、母さんが洗い物をする水音が聞こえてくる。
 一方で、庭で弾ける花火の光もどことなく非日常的に映った。着慣れない浴衣を着てはしゃぐ姪と甥は、叔父の贔屓目が多分に含まれつつも可愛く見えたし、同時に妙な懐かしさも覚える。
 俺も昔はここで、姉ちゃんと一緒に花火をしたんだよな。姉弟で浴衣に兵児帯姿の写真が、実家のアルバムに貼られていたはずだった。もうずっと昔の話だ。
「おうちで花火なんて久し振りです」
 ふと、藍子が呟いた。
 彼女は浴衣の裾を気にしつつ、ろうそくの前で上品にしゃがみ込む。そうして手にした細い線香花火の先を、ゆっくりと火で炙る。いくらもしないうちに線香花火は、名前の割には派手な火花を散らし始める。
「いきなり地味なのから行ったな」
 俺の言葉に藍子は照れ笑いを浮かべた。
「そうかもですね。でも好きなんです、線香花火」
「じゃあ、俺もやろ」
 真似をして、ばらけた花火セットの中から線香花火の束を拾う。一本抜き出して、藍子の隣にしゃがみ、その火を分けてもらう。本当に松葉みたいな火花が音を立てて弾けると、藍子がなぜか、ふふっと声を立てた。
「懐かしい……。妹とも、こんな風に花火しました」
 火花の明かりに照らされた表情が優しい。浴衣の魔力とあいまってかとてもきれいで、そして本当に色っぽかった。
 日が沈んだからといってすぐに涼しくなるわけでもなく、辺りの空気は依然として蒸し暑い。藍子の白い首筋に、細い髪が数本張りつくようにしている。無性にそれが気になって、片手で線香花火を持ちながら、もう片方の手を伸ばす。指の腹でなめらかな皮膚を撫でるように髪を払うと、藍子がびくっと肩を浮かせた。
 と同時に、手元からふっと何かが消えた。空気を震わせていた火花が火球ごと線香花火の先から落ち、俺の足元でびりびりと燻る。
「あ、落ちちゃいましたね」
 そう言った藍子の声が、どこか安堵したように聞こえた。
 何でほっとしてるんですかね、この子は。首筋に触れられて、次の瞬間には噛みつかれるとでも思ったか。さすがの俺もそこまではやらない、やるならもっと暗がりにでも連れ込むわ。
「もう一本しますか?」
「やる。こんなに落ちやすかったっけ、これ」
「そうですよ。よそ見してたら駄目です」
 線香花火をもう一本拾い、また藍子から火を貰う。藍子の方は最後の赤々と燃える火球にまで辿り着き、それが落ちてから新しい線香花火に、今度は俺から火を移していく。火花を散らす花火の先端に触れたもう一本が、まるでつられたように爆ぜた音を立て始める。
「そういえばうちの妹も、よく落としちゃう子だったんです。落ち着いてする花火は苦手だって言ってました」
 花火を離してから、藍子は懐かしむように言った。それから何か思案するそぶりで睫毛を伏せる。
「この間、将来の夢の話をしましたよね。ケーキ屋さんになりたかったって」
「言ってたな」
 それはすごく、藍子らしい夢だと思った。
「私、妹と約束してたんです。二人で一緒にケーキ屋さんやろうって……もうずっと昔の、小さな頃の話ですけど」
 線香花火の光が、思い出を語る彼女の表情をちらちらと照らす。よそ見をしたらまた花火が終わってしまうだろうか。でも、仕方あるまい。この顔からは目が離せない。
「私はあんまり器用じゃないから、パティシエには妹がなって、私は販売員で、二人でお店をするつもりでいました。スケッチブックに二人で、お店の内装イメージとか、制服のデザインとか、ケーキの図案まで描いたりして」
 楽しそうにそこまで話してから、彼女は少しだけ寂しげに首を竦めた。
「でもお互いに、その夢のことはいつの間にか忘れてました。私はもう就職しちゃいましたし、妹も今は違う夢を追ってます。それどころか私、ここにお邪魔して、隆宏さんの夢の話を教えてもらうまで、ずっと忘れてたくらいなんです」
 子供のうちは、誰だって夢を見る。それが実現可能かどうか、その為の努力ができるかどうか、そういったことはお構いなしで好き放題に夢を見る。
 でも大きくなれば、その夢に手が届くか届かないかを否応なしに思い知らされることとなる。夢が叶わない、それだけで済むならまだいいが、その夢の代わりに別の、今度はもっと現実的に手が届く範囲での進路を見つけ出さなくてはならなくなる。そうやって、レスキュー隊員に憧れてた俺は、その当時最もなりたくないと思ってた職業を選び取った。
 だからって不幸な人生だとは全く思わない。それどころか、今が人生の中で一番幸せかもしれない、とさえ思う。俺の人生ここに来て、すごい上り調子じゃねえの、って。
「あ……藍子、お姉ちゃん」
 不意に甥っ子の声がして、俺たちは一緒に面を上げた。
 姉ちゃんに背を押されるようにして近づいてきた甥は、まだ下膨れ気味の頬っぺたを強張らせつつ、藍子に向かって告げる。
「線香花火、一つください」
 消え入りそうな声でそう言われて、藍子は愛想よく微笑んだ。そして線香花火の束から一本引き抜くと、甥の小さな手にそっと握らせる。
「はい、どうぞ」
「ありがとっ」
 早口気味に礼を言い、甥はその場でぴょんぴょん飛び跳ねる。照れ笑いにも似たぎこちない表情で、さっそくろうそくの傍へとしゃがみ込む。手なんてまだ線香花火が長く見えるくらいにちっちゃくて、姉ちゃんが心配そうに見守っていた。
「可愛いですね」
 藍子が相好を崩すから、俺もつられて笑った。
「初日の人見知りっぷりから比べると、大分慣れてきたな。慣れた頃に帰んなきゃなんないのが残念だ」
「そうですね……」
「でも、また来ればいいよな」
「はいっ」
 力一杯頷いてくれたから、俺は、藍子もこの旅行を楽しんでくれたのかな、と前向きに捉えてみる。旅行って言うほど観光はしてないが、親に紹介できたし、ずっと一緒にいられたし、浴衣姿も拝めたし――どれもこれも思い返せば俺しか得してないような気もするが、大丈夫だろうか。
 俺の内心を知らないはずの藍子は、まだ目で甥の小さな姿を追っている。手元の線香花火はとっくに火球が落ち、火花も治まっていたが、彼女の関心はすっかり向こうに移ってしまったようだ。興味深げな横顔をしばらく見つめていたら、彼女の方もやがて、唐突に俺に向かって口を開く。
「隆宏さんの小さな頃とそっくりですね」
「え? そうか?」
「はい。アルバムで見せていただいた写真と、すごくそっくりです」
「そう言われりゃ、そうかもなあ……一応血の繋がりはあるしな」
 甥だし、似ててもおかしくはない。少し歳の離れた姉がいるって状況も、確かに俺とよく似ている。でも俺はこんなに人見知りな子じゃなかったし、花火如きに及び腰になるようなビビりでもなかった。
 ただ実際に似てるかどうかはさておき、俺もついさっき、甥や姪が花火をする姿に小さな頃の自分を重ね合わせていた。あの二人は、かつての俺と姉ちゃんに、少しは似ているのかもしれない。
 結局、甥はすぐに線香花火を落っことしてしまったようで、駆け足でもう一本貰いに来た。藍子が再び小さな手に花火を握らせてあげている横から、俺は甥に面白半分で尋ねてみる。
「お前、大きくなったら何になりたい?」
 いきなりの質問に甥はきょとんとしていたが、幼稚園なんかでもよく聞かれる内容だろうし、慣れていたのかもしれない。数秒もしないうちに叫んだ。
「俺、仮面ライダー!」
 そして腕を振り回して変身ポーズらしきものを取ると、急に元気を取り戻したようにばたばた駆け出していく。その後を姉ちゃんが、そして姪が慌てて追い駆ける。
「これはまた、でかい夢が来たな」
 俺は微笑ましい思いで呟く。
 甥の夢は果たして叶うだろうか。俳優になればあるいは――と思いつつ、でもあいつがなりたいのはそういうんじゃなくて、きっと本物のヒーローなんだろう。そういうところは俺にも似てるな。
「何にでもなれるって気持ち、素敵ですね」
 藍子も楽しそうに甥たちを眺めやっている。妹さんの話をする時みたいに、優しく続けた。
「誰もが自分の夢を叶えられるわけではないですけど……でも夢を見るのは大切なことですよね。こうして後から懐かしく思い返して、幸せな気持ちになれます」
 その後で俺を見て、浴衣に似合うような年相応の表情を浮かべる。
「それに、子供の頃の夢には、その人の原点が詰まってるような気がします。夢の話を聞いただけで、その人のことがすごくよくわかってしまうような」
 藍子はそう言うが、彼女は元々俺を買いかぶるふしがあるから、レスキュー隊員になりたいって夢も『立派なことに、社会貢献に情熱を燃やしていた少年の夢』みたいに解釈していそうだ。当時の心理状況なんて本当はもっと単純な、格好いいからなりたかった、みたいなもんなんですがね。
 でも、そんな彼女に出会えたからこそ、俺は新しい夢を見つけられた。
「せっかくだから、もう一本やるか」
 俺はそろそろ残り少なくなってきた線香花火を二本取る。片方を彼女に手渡すと、先に立ってろうそくで炙り、程なくして点いた火を彼女にお裾分けしてあげた。
 ぱちぱちと火花が飛ぶ線香花火が二本、お互いの顔を照らしている。その光の中で目が合うと、藍子は柔らかい顔つきで小首を傾げた。可愛いし、きれいだし、色っぽい。
 全部ひっくるめて俺は、お前が好きだ。
「今の俺の、将来の夢には興味ないか?」
 花火をしながら藍子に持ち掛けてみる。
 すると彼女には、割と本気で目を丸くされた。
「えっ。そ、それって……転職されるってことですか」
「違うだろ。さすがに今更、レスキュー隊員は目指せねえよ」
 俺は冗談のつもりで笑う。が、藍子は胸を撫で下ろしていた。どんだけ真面目なんだ。
 さすがにもうこの歳になって、何でもできるなんて根拠のないことは思わない。だが俺は、藍子とだったら何でもできるような気もしている。彼女と二人でなら、今まではできなかったこともできるだろうし、その為に現実的な計画だって立てられる。
「お前を必ず幸せにする」
 だからこれは、約束だ。
「それが俺の、最新の将来の夢だ」
 そんなことを告げたら藍子はまた恥ずかしがって、こっちに背を向けてしまうんじゃないかと思ったが――今ばかりはそうしないでくれたらと思っていたら、本当に彼女は俺を見つめたまま、思いのほかしっかりと頷いた。
「私も……」
 すぐに、返事もくれた。
「私も同じ思いです、隆宏さん」
 意外なくらいはっきりした答えに、俺は、夢が現実になりつつあることを予感する。
 彼女でよかった。心からそう思う。

 花火が尽きるか尽きないかのうちに、はしゃぎ回った反動からか甥が眠気を訴え出した。
 お義兄さんが家から出てきて甥を抱っこし、そのまま家の中へと連れて行く。残された姉ちゃんは姪に片づけを始めるよう促し、姪も少々目を擦りながらそれに従う。
 それは、どこにでもあるような家族の風景だった。
 今まではそこに、過去の、小さかった頃の自分を重ね合わせるだけだったが、これからは同時に、未来も見るようになるだろう。
 いつか、近い将来、俺たちもあんな家族になれるだろうか。
 とりあえず藍子はいいお母さんになれるに違いない。それだけはもう確信している。もし子供ができなくたって、二人きりの家族でも幸せでいられる自信もある。どんな形でもいい、常に幸せな家族でありたい。
 こんなありふれた夢を見る日が、俺にもやってくるなんてな。
「旅行、楽しかったです。ありがとうございます」
 花火の後始末をしながら、藍子が俺にそう言った。
「まだまだ、家に帰るまでが旅行だぞ。気を抜くなよ藍子」
 だからからかい半分で切り返してやったら、途端にしゃきっと背筋伸ばしてた。
「あっ、そうですね! まだまだでした!」
「でもまあ、次もあるし、そっちのことは考えといてもいいかもな」
「次、ですか?」
「ああ。今回はあんま観光できなかったしな。新婚旅行はもう少し、それっぽいとこ行こうな」
 藍子の脳内処理能力は、たった一つの単語で派手にショートして、限界を迎えたようだった。さっきの落ち着きぶりはどこへやら、大慌てで口をぱくぱくさせる。
「あの、し、し、新婚旅行って……」
「どこがいい? さすがに海外まで行く休みは取れそうにないが、国内だったらどこでもいいぞ」
「えええ、えっと……まだ考えられないですよそんなの……!」
「じゃあ考えとくように。俺もいくつか候補出すから」
 俺がその肩をぽんと叩くと、すっかりのぼせ上がった藍子がぎこちなく頷く。桜模様の浴衣はとてもよく似合ってるから、このまま着せたままで連れ帰れたらいいのにな、などと思ってみる。そうだ、どうせなら浴衣を自然な流れで着せられる旅行先ってないもんか……温泉とかか?
 そこまで考えてふと気づく。
 何だかんだで今の俺も十分、幸せいっぱいな夢を見られてるよな、って。
PREV← →NEXT 目次
▲top